Tomさんと、Woody Allen, Match Point.
なんで、Woody Allenでロンドンでオペラ?

ここ数年続いているらしい、ロンドンの、無理矢理バブル状態。それに伴うらしい、ロンドンの「都市再開発」。いうまでもなく、「都市開発」には、犠牲が伴う。「おしゃれ」になれば、それでいい、ということでもない。

ハルヤマと4年くらい前ロンドンをうろついたときの、昔は超場末のドックだったところが、「おしゃれ」に「再開発」されていて、牛のモニュメントがロンドンのあっちこっちにあって、ハルヤマと行った、昔の(というのは、ヴィクトリア時代からのことだけど)ドックの牛は、たしかぶち文様の牛だった。

ハルヤマと話していたのが、んで、イギリス経済の復興!の象徴としての、ドック再開発!とかいっていても、ドックの真ん中の神殿風の建物にあるのは、スタバだったりするんだよねー、アメリカ巨大資本の?てな話をしていたのを思い出した。

Match Pointでは、悪名高い?London Eyeも映っているし、たぶんCovent GardenにつながるHerietta Maria St. 沿いの、Ralph Laurenとかのポッシュなショップが並ぶ街路で、どうも昔流の階級社会の用語だと、労働者階級出身にあたるらしい主人公が、お買い物するシーンなんかが出てくる。
London EyeとかTate Modern (Match Pointでは、主人公の妻が、妊娠することぐらいしか「趣味」のない、金持ち上流階級の、モダン・アートの、「趣味の判断者」だから、Tate Modernはしょっちゅうでてくる。Tate Modernは、テムズ南岸の、牢獄の建物を改装したものだ)とか、Milleniam Bridgeとか。

細かいけど気になるところ。
主人公は、もともとは義父(妻ーーどうもリッチな上流階級出身、という設定らしいーーの父)のコネで、ビジネス世界に参入したのだけれど(だから、愛人と妻のほぼ同時妊娠事件で悩むのだけど)、コネはなくともビジネス・センスに恵まれたひとだった。
彼にめぐってきたビッグなビジネス・チャンスが、日系企業との合同事業!
その締結の日の場面で、主人公と、彼の直接の上司との「イギリス人」と、たぶん3人くらいだったかな、日本人のビジネス・ピープルの場面。
リアリスティック(なものを求めても仕方ないけど、一応書く)に考えれば、たぶん、「イギリス人」と「日本人」のビジネス・ピープルを媒介する、通訳者がいるべき場面。でも、もちろん、いない。
主人公の直接の上司と、主人公が、「英語」でビジネスの締結を宣言。「日本人」ビジネスマン(マン、の部分、あえてこう書く)は、「イギリス人」のビジネス・パートナーが、握手の手を差し出しているのに、お辞儀する。

・・・なんじゃ。
さらに。主人公の直接の上司は、イギリス流のビジネス・マナーで行くのに、主人公は、お辞儀して、さらに、「日本人」ビジネス・ピープルと別れるときに、「サヨナラ」とまで、言ってくださる!

・・・怒ってみようかな・・・。ビジネスの場面では、「サヨナラ」言いません。
半端に、文化的差異に対する敏感ぶりをパフォームするんじゃない、っての。

けっこう、怒ってるかな。
ポイントは、「歴史的ロンドン」を破壊するものといわれているロンドンの「再開発」(プリンス・チャールズは反対らしい)と、日系企業が、ある種の共犯関係にある、と、この映画では描かれていると思う。それに対しては、マジに怒ってみせても、いいかなぁ。

いい映画でした。登場人物の誰に自己同一化していいのか、が、最後まで、私はわからなかった。

主人公は、弁護のしようもないほど、上昇志向ばかりの強い、くだらない人間。でもちょっと、かわいいのよね。
彼が犯してきたさまざまな、道義的あるいは法的逸脱行為によって、罰されることを、私は望むのか、それとも、うまく逃げおおせることを望むのか、今のところは、気持ちを決められない。